【サーターアンダーギー】

【黒糖】

含蜜糖の一種。おきなわでは、一六二三年に初めて製造された。江戸時代の国産砂糖は和製砂糖(和糖)と黒砂糖(黒糖)とに分けられ、黒糖は島津藩支配下の奄美大島や琉球で産出されるものをさした。沖縄では第二次大戦後の一九四九年に特別措置法により耕地白糖が亜流法によって精製されるまで黒糖だけが生産された。
白糖と黒糖の違いを見てみると、白糖はサトウキビやその汁に含まれる、香り、色、味、そして蔗糖以外の栄養分をすべて取り除き純品にしたものである。黒糖には白糖には全く含まれないカルシウム、鉄、カリウムをはじめ、微量成分としてのマグネシウム、銅、亜鉛、マンガンなどのミネラルが検出されている。その他、ビタミンB₁、B₂も含まれている。
カリウムについては、興味深いデータがある。青森県では、食塩摂取量が高い割に高血圧者が少ない。これはリンゴに含まれているカリウムに起因すると考えられている。また、降圧剤(血圧を下げる薬)を飲むと体内のカリウムの消費量が高くなるという報告や、利尿剤を飲むとカリウムの尿中排出量が高くなるという報告もあるが、黒糖はカリウムの補給に最適な食品となる。
沖縄の高齢者たちは便通をよくし健康にもよい、ということで黒糖をよく摂取している。
黒糖と健康の関連については、動物実験で黒糖中に血清中のコレステロールや中性脂肪を降下させる成分が含まれることが示唆され、その作用物質がサトウキビの茎皮に付着している特殊化学構造をもつワックス成分であることがわかった。一般に植物には表皮に保護物質として、脂質成分が含まれており、製糖過程でサトウキビ汁に混入したこのワックス成分は、黒糖の段階では残存していたのである。
フランスでは、蜂ろうと呼ばれているプロポリスに、動脈硬化への効き目や殺菌作用があるということで、健康食品として利用されているという。沖縄でも、農作業で荒れた手に、サトウキビのしぼり汁を煮詰めるとき、上澄み部分の「砂糖のあぶら」を塗ったといわれており、しぼり汁の脂質成分の効果はいろいろな面で威力を発揮していたものと思われる。
一九八〇年代には、糖尿病モデルラットを用いた実験で黒糖の有効性が認められている。
黒糖は板状やブロック状、粉末で売られている。料理には粉末が便利である。独特の甘い風味があるので製菓原料にも用いられ、黒糖入りのパンや黒糖風味のちんすこう、カステラなど、様々な製品が商品化されている。その他、再生糖、焼酎、化粧品、調味料など、その用途は多岐にわたる。
砂糖離れが言われて久しいが、黒糖は二一世紀に生き残れる食品である。

【サーターアンダーギー】

沖縄を代表する揚げ菓子である。サーターは砂糖、アンダーギーは揚げ物の意で、特にドーナツのように種を揚げたものを指す。砂糖入りの揚げ物であって、砂糖を芯にしたてんぷらではないので、近年耳にする「砂糖てんぷら」という呼び方は適切ではない。
作り方は、砂糖、卵、小麦粉を混ぜて耳たぶくらいの硬さにし、手で丸めて油で揚げる。揚げているうちに一か所が割れてチューリップ形に開く。このように開いてはじけることを沖縄では笑うという。この笑った形がサーターアンダーギーの特徴である。中国には開口笑、開口球という名の同じ形をした菓子がある。また、古くはサーターハンビンと呼ばれていた。
普段のおやつとして、また土産としてもちいられる。さらに祝菓子としても重要である。特に結納のときには白アンダーギー松風そしてアンダギーのセットはなくてはならないものである。

【三月菓子(サングヮチグヮーチー)】

サーターアンダーギーとともに、沖縄を代表する揚げ菓子。旧歴の三月三日の「女の節句」に作られる。「三月御重」の重箱に詰められたのでこの名がついたと思われる。
砂糖、卵、小麦粉、ラードを混ぜた種を、厚さ1cm、幅4.5cmの細い棒状に整え、それを端から約3cmに切り分ける。一個づつの表面に縦に三本の包丁目を入れ、中温の油でゆっくり揚げる。揚げているうちにだんだん膨らんで、3本の切込みがはじけて、かわいい形になる。
サーターアンダーギーに比べ、種は少し硬めに整えるが、目安は包丁で切ったり、包丁目が入る硬さにすればよい。また形は、長方形にするがこれは重箱に詰めやすくしたのであろうと思われる。
現在では、旧三月三日に浜に出る風習はほとんど行われていないが、三月菓子は揚げ菓子として、季節を問わず、広く作られている。


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