【スルル】

【スルル】

往年、漁村垣花(那覇市)でスルル網を使って漁獲されていた。スルルで釣れない魚はいない、などと昔から言われているように、釣り餌としては最上のものとされた。古くから食材としてもなじみのあるスルルの和名は、みなみきびなご。にしん科うるめいわし亜科に分類され、その仲間にはうるめいわし、きびなご、みなみきびなご、ばかじゃこなどがある。沖縄では、明治、大正期にかつお漁業の活餌として重視され、生食用に獲ることは禁止された。最近では居酒屋のきびなご刺身や、唐揚げといったメニューで親しみのある魚種となっている。移入品である冷凍きびなごも多く出回っており、沖縄産のスルルやばかじゃこは資源そのものが減少しているという。県内のかつお漁業が衰退した背景には、沿岸域の開発が進み、餌となるスルルが獲れなくなったことをあげる関係者も多い。民謡の「谷茶前」には、スルルやミジュンが沿岸に寄ってくる様を描写した部分があり、往時は沖縄全体に沿岸の資源が豊富であったことを証明していよう。
きびなご刺身は、酢味噌で食べるのが普通であり、かつおに食べさせるにはもったいないと思われるほど、カルシウム豊富な小魚である。

【スンシー】

たけのこの一種。別名メンマ。たけのこは中国発音でスン、細く割いて塩漬け発酵させたものを台湾でスンシーという。沖縄のスンシーは台湾から輸入されていて、塩抜きしたものも販売されている。たけのこは東アジア原産の竹の幼茎。中国や台湾では主に猛宗竹、麻竹のたけのこが加工に利用される。たけのこは新鮮な物の利用の他、乾燥品、塩蔵品、缶詰などが製造さtれ、貯蔵が利くので重宝されている。たけのこ及びその加工品は食物繊維が多く、整腸によい。
メンマの製造は、麻竹のたけのこを細く切ってゆで、つや出しに落花生油を少量加える。次に籠に入れ、芭蕉の葉で覆い、重石をして、20日くらい発酵させ、これを乾燥させる。ラーメン用のメンマは乾燥品を輸入して、業者がもどしている。スンシーイリチーは、塩抜きしたスンシー、こんにゃく、ゆでた三枚肉、昆布を四、五cm長さの細切りにして、豚だしも加え、炒め煮にする。

【清明祭】

中国から伝来した旧歴三月の墓前祭。方言では、シーミー(清明)、あるいは、御をつけてウシーミーとも呼ぶ。十八世紀、琉球国王によって始められ、その後、首里士族から地方へと普及。本島北部や離島では一般的ではない。
二十四節期の清明の候は、山野に白百合や月桃の花が咲き匂う。持参した重箱料理や菓子、果物、酒などを墓口に供えて焼香し、沖縄独特の墓庭でにぎやかに会食する。墓といっても暗いイメージは無く、青空の下で親族がそのつながりを確認し、伝統の味に舌鼓をうつ場で、現在も盛んにおこなわれている。
重箱料理には、地域や門中ごとの習わしがある。首里や那覇では、清明祭の重箱は四段で一組。盆や法事にもつくるウサンミ(御三味)とよぶ豚肉、てんぷら、豆腐、煮しめなどの料理が二段。餅は一段に十五個の二段。料理の種類も九品か七品と奇数でそろえる。
重箱は縦横三等分の九マスに分け、料理を市松模様に彩りよく、高さもそろえて詰める。シーミーは祝行事なので、重箱にかかせないカマボコも食紅で表面を染め華やかである。
品数も多く、調理には手間ひまがかかるが、ゆでた豚三枚肉をまず、甘辛い味で煮しめて、その煮汁にあらかじめ下ごしらえをした結び昆布、大根、ゴボウ、コンニャクなどを順りに煮付けていくので、無駄が無い。こうして、アジクーターに仕上げた煮しめ、高温できつね色に揚げた島豆腐、砂糖醤油で絡めた田芋のから揚げ、衣にしっかり味のついた魚ややさいの天ぷらと、どれも冷めても美味しく、傷みにくい。
地域的な特色としては、その昔中国から渡来した人々が住む久米村のシーミーでは、にわとり、豚、魚、タマゴなどをゆでたり、蒸して丸ごと供えてから、その場でさばき、生姜酢につけて食べる風習が戦前まであった。
近年は、市販の重箱料理を用いることもある。ちなみに、清明祭の翌日、その残り物を利用してつくる弁当をシーミー弁当と呼ぶ。

【シマラッキョウ】

方言名はラッチョウ。シマは在来種のい意。ユリ科の植物。中国からインドにかけて自生し、古くから沖縄でも栽培され、鱗茎を食べる野菜。独特の香りや辛みは、切ると細胞が壊れ、酵素が働いて、匂いや辛み成分を生ずるため。この成分はビタミンB₁と結合して粗の吸収を増やすので体内利用を高め、疲労回復につながる。また、血行を良くして体を温める。殺菌効果もある。これらの作用は生で効果が強いが、過熱をすると、酵素が失活するので、辛みの苦手な人は加熱料理がよい。高齢者の味覚低下の改善に役立つ亜鉛や整腸によい食物繊維の宝庫である。
早採りして、五、六cmくらいの長さで浅漬けにする。完全に成熟するのは、五月ごろ、甘酢漬け、地漬けにして長期保存する。ラッチョウチャンプルーにしても美味しい。沖縄サミットの正餐メニューに「島らっきょうのつや煮」があった。


この記事へのコメント

スポンサードリンク