【エラブウミヘビ】

【エラブウミヘビ】

方言名はイラブー。名の由来は永良部島近海で産したことから永良部鰻と名付けられた。しかし、鰻ではなくウミヘビ。エラブウミヘビは主にフィリピン周辺に広く棲息し、南日本からインドネシアまで広く分布している毒蛇である。洞窟や岩陰に上がってきたところを捕獲する。県内の産地は久高島、宮古島、石垣島である。
イラブーは燻製小屋で一週間~10日間いぶして、製品にする。久高島ではノロ(女神官)が捕獲権をもっていて捕獲場所を他人に知られないように守ったと言われる。昔、イラブーは高級料理として中国の皇帝から派遣された冊封使や薩摩奉行に、近年は皇族方の饗応に用いられた。そして、強壮剤として支配階級にのみ食されてきたが、今では、棒状や渦巻き状の燻製品が市場で売られていて、庶民の最高のヌチグスイとして重宝されている。また、粉末イラブー、イラブー酢も開発されている。
イラブーのたんぱく質はアミノ酸組成がよく、旨みの主成分になっている。脂質は魚に似て、コレステロール降下作用や血栓予防効果が期待される。ミネラルやビタミンも豊富で、コエンザイムQと呼ばれる心臓に良い成分も含まれ、強壮・疲労回復に効果がある。しかし、このような成分も日向で酸化させては生理効果も弱くなる。酸化臭のないかつお節のような香りのものを一緒に料理に使うとよい。
イラブーシンジの作り方は、まず、燻製のイラブーを米ぬかで洗い、水けを拭き、川を少し焙って柔らかくして、六cmほどぶつ切りにして、昆布で巻く。これを鍋に入れ、たっぷりの水で、四,五時間、アクを除きながらじっくりと煮詰める。このとき濃厚なスープが、イラブーシンジである。イラブーのお汁は、スープを取ったあとのイラブーの骨と内臓を除いて、肉と黒皮を巻き直し、茹で洗いした豚足と鶏肉と結び昆布とを一緒に、鰹だしで二時間煮込み、塩で味付けをして、汁物に仕上げる。

【おおたにわたり】

方言名フィラムシル。平らな筵の意。西日本に分布する大きな葉の常緑多年草のチャセンシダ科。古くから食物を盛ったり、包むのに使われた。温暖で高湿度のところではよく繁茂し、一年中利用できる山菜。食べる部分はくるくる巻いた新芽。八重山では、法事などの霊供養の精進料理に用い、また、煮物のあしらしに使う。茹でると緑色が鮮やかで、料理を引き立てる名脇役になる。民間療法に「切り傷に新芽をつき砕いてつける」とある。
山菜といえばもう一つ、「あだん」がある。小笠原地方と南西諸島に見られ、海岸近くに生えるタコノキ科の植物である。食べられる部分は、葉の新芽の基部で、白く柔らかい部分。これも八重山で利用が多く、味はタケノコの先端の柔らかい部分に似ている。アクが強いので糠と一緒に茹で、水さらしを繰り返してから、煮物にして、精進料理に用いる。南島の山菜は食物繊維に富み整腸によい。

【沖縄風天ぷら】

具にも衣にも薄い塩見をつけて揚げた沖縄独特の天ぷら。和風の天ぷらと違い、天つゆが要らない。厚めのしっかりとした衣がついているので、出来立てはもちろん、冷めても美味しい。「和風ナゲット」とも言える。行事の際の重箱料理やオードブル、ふだんの弁当のおかずに良く使われる。
具の白身魚は約二cm角の棒状に切り、塩をまぶして一時間くらい置く。小麦粉、卵、塩、水で衣を作り、具に衣をつけて色よく揚げる。適当な長さに切って、切り口を上にして、盛りつける。具は白身魚の他にイカやサツマイモ、サヤインゲン、モズクなど様々な物がある。
沖縄風天ぷらの現在版として、ちおまたでは、テイクアウト専門の天ぷら屋さんが繁盛している。ドーナツやハンバーガーと同じくらい人気があり、しょう油ならぬウスターソースをつける食べ方も定着している。

【重箱料理】

沖縄では、本土の正月の重箱料理とは違い、おもに法事や清明祭などに仏壇やお墓へのお供え物として用いられる。祖先崇拝の習慣が強い沖縄では、これらの諸行事には無くてはならないもので、重要な位置を占めている。
正式には四箱を一組とし二組には料理、二箱に餅を詰める(各一組の場合をカタシーという)。重箱に詰める料理は豚三枚肉、昆布、カマボコ、てんぷら、田芋、揚げ豆腐、ごぼうなどが用いられる。重箱の正面を縦に三つ区切り、中央の列に豚三枚肉、昆布、カマボコを盛り、両サイドにいろいろな品を盛る。全体で七品、九品と奇数の品をモザイクのように隙間なくぎっしりと詰める。
重箱の盛り方には一種のルールがある。清明祭には、重箱中央の位置に昆布、法事には豚肉がくるように盛りつける。また、昆布は、清明祭には返し昆布を使う。餅は縦に三列に盛り、一五個又は二一個を盛る。法事には白餅を、清明祭には白餅、あん餅などが使われる。重箱の上にサン(ススキの葉などを十字に結んだもの)を魔除けに置いたりもする。
中国から神仏への供物として、三牲(鶏、魚、豚)が伝えられた。これらを久米村(中国から帰化した人々の集落)ではウサンミ(御三味といい)現在も久米の孔子廟のお祭には姿のままの鶏、尾頭付きの魚、皮付きの豚肉(豚一頭の代用)が供えられる。このウサンミが後に姿を変えて重箱料理となった。重箱料理のことをウサンミともいう。
一昔前までは、重箱料理は主婦が丹精込めて作ったものだが、最近では重箱料理を専門の業者に注文する家庭も増えてきた。しかし、重箱料理そのものは、まだ根強く受け継がれている。また、昔の旧三月三日は女が唯一家事から解放される日だった。三月御重を作り、浜下りといって、浜辺に出て、お重開きをし、一日楽しく遊んで過ごした。御重は四箱を一組とし、重箱料理、赤飯おにぎり、三月菓子、菱餅または、フームーチー(よもぎ餅)を詰める。重箱料理は山海の料理(花イカ、紅白に染め分けた落花生、豚ロース、紅梅卵、昆布、コーグァーシに砂糖菓子でデコレーションをしたお重菓子など)を彩りよく華やかに盛り付ける。色彩に乏しい琉球料理の中でひときわ華やかな料理である。


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