セーファン

【セーファン】

汁かけご飯。ご飯茶碗にご飯を軽く盛って、その上に具を彩りよく放射状に並べ、温かいかけ汁(かつおだし、またはかつおだしと鶏だしをあわせたもの)を食べる直前にかける。日本料理のお茶漬け感覚で供せられる。元来、祝いの席や接待の際の料理で、会食の最後に出され、正式には漆器の椀にご飯と具を美しく盛り、食べる前にユーチヂ(湯桶)という注ぎ口と取っ手のついた円筒形の器からかけ汁が注がれる。
 具のしいたけ、にんじん、油揚げ、からし菜、薄焼き卵などは、約4センチの長さに切り揃え、砂糖、塩で薄味をつける。かけ汁は、塩、しょう油で調味し、最後にショウガ汁を少々入れる。あっさりとした味が身上で、ご飯も具も軽く盛り付けてたっぷりのかけ汁をかける。他にも鶏肉の入ったケーファン(鶏飯)、豚肉とその他の具をさいの目に切って炊き込み御飯風にしたトゥンファン(豚飯)がある。いずれもかけ汁をかけて食べる。


【ソーキ骨】

骨付の豚あばら肉のこと。汁物や煮付けにするのが一般的。
 ソーキ骨のお汁は、沖縄の代表的な汁物で、二本どりのソーキを、長さ5センチくらいに切り、ダシの中で柔らかく煮、結び昆布や大根などを加え、しょう油少々と塩で味付ける。味噌仕立てにしても、味噌と豚脂が馴染んでも美味しい。
 ソーキは適当に脂肪を含んでいるので柔らかく、香りがよい。また、一緒に入れる昆布は豚の脂肪により柔らかくなる。豚肉の旨みと昆布の旨みの相乗効果で、コクが出る。
  ソーキ骨の煮付けが沖縄そばのトッピングになったのは、そう古いことではないが、今ではソーキそばとしてもすっかり定着している。

   
【ソーミンプットゥルー】

ゆでたそうめんを炒め、ねぎやニラをさらっと散らして、仕上げる。手軽な家庭料理である。ソーミンタシヤー、ソーミンチャンプルーなどとも呼ばれる。沖縄の油脂文化のもたらす料理と思われ、他府県にはみないそうめんの炒め物である。
 プットゥルーとは、でんぷん質のものがドロドロした状態になっている様を表現する言葉。ちなみに、ンムクジ(サツマイモのでんぷん)を溶いて火にかけ、ドロドロの状態になったものをンムクジプットゥルーという。ソーミンプットゥルーもそうめんが少々、ドロドロになった状態である。タシヤーは油炒めの意で、さらっと炒めたものというイメージがある。
 本来、チャンプルーは、豆腐と野菜の炒め物のことである。時代の流れで、炒め物の総称としてチャンプルーが使われるようになり、ソーミンチャンプルーとも呼ばれるようになったが、元々はチャンプルーではない事を認識しておきたい。


【そてつ】

沖縄ではソテツと言えば大方の人が『ソテツ地獄』を連想しがちだが、ソテツにとっては、わりの合わない話である。何故なら、ソテツは食糧難の時代に人々を餓えから救った重要な救荒食物だったからだ。実も幹も食用になった。
 ただ、幹には有毒性のサイカシンが含まれており、製法を誤ると中毒症を起こす。1956(昭和31)年、宮古島では5人が死亡した。サイカシンは水に溶けやすく、繰り返し水洗いすれば、中毒の心配は無い。ソテツ飯、雑炊、味噌などに利用された。
 王朝時代には、「蘇鉄方」と称する役所まで設けて栽植奨励されている。
葉や実(種子)は消化、通経材、胃痛、創傷に効いた。葉はホウキや虫かごなど玩具や民芸品に用いられた。
 お隣の奄美では「ソテツがなし」と尊ばれ(かなしは尊称)、沖縄のようにソテツ地獄という概念は無い。実の白いデンプンでつくるナリガイ、幹の黒いデンプンでつくるシンガイは、今や、高級郷土料理として重宝されている。


【ターンム(田芋)】

里芋の一種。湿地帯や水田で栽培されるため、水芋、または田芋と呼ばれる。方言でターンム。西南九州地方で主として栽培されている。植え付けから収穫まで約1年かかり、季節を問わず年中植え付けが出来るので、需要の多い盆や正月向けに植え付けされる事が多い。市場では蒸し煮したものが売られている。
 親芋の周りに子芋がつくことから、子孫繁栄に繋がる縁起物とされ、特に出産祝いに欠かせ無いものとされた。
 田芋の茎(ムジ)にはシュウ酸が含まれ、汁気が手につくと、かゆみを生じる。また、芋の粘りや風味は、他の食品には無い独特のものである。粘りがあるので汁物や鍋ものにしても煮崩れしない。
 伝統的な食べ方としては、ドゥルワカシー(田芋とその茎、さいの目に切った豚肉、しいたけ、かまぼこをラードだし汁を加えて練り、塩で味付けする)やムジの汁(田芋の茎と豚肉や豆腐が入った汁物。出産祝いにふるまわれた)、ゆでてつぶしたものに砂糖を加えて練った田芋田楽、砂糖としょう油を煮詰めた中に素揚げした田芋をからめた田芋の空揚げ、などが一般的である。新しい料理に、ドゥルワカシーをタネにして油で揚げたドゥル天や、芋の紫色を生かした田芋パイなどがある。



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